ワイデン+ケネディと東京
Mission : W+K session
08 1/28 UP
Text:Masahiro Hattori Photo:Shoichi Kajino(atelier L'APPAREIL-PHOTO)
ワイデン+ケネディという二人のクリエイターが創設した会社のトウキョウオフィスに新たに訪れた二人のクリエイター“ハッチンソン+リード”。アートディレクターでありコピーライターでもある、クリス・ハッチンソンとドリスコル・リードの二人の目に映る東京とは?日本は?
CHRIS HUTCHINSON+DRISCOLL REID
クリス・ハッチンソン+ドリスコル・リード
W+Kポートランド本社より、W+K東京オフィスに転属。ハッチンソン、リードともにアートディレクションをし、コピーも書くユニットクリエイティブチーム。ナイキ、EAなどをクライアントに持ち、彼らの作品はニューヨークワンショウ、カンヌ国際広告祭などで数多くの賞を得る。
- ──
- なぜこの二人のチームでやられているんですか?
ドリスコル・リード(以下DR)
- DR:
- W+Kのポートランド本社で初めて会って、バウハウスというプロジェクトに二人で関わったのがきっかけです。そのプロジェクトがうまくいったので、「次も一緒にやろうか」という感じで。
クリス・ハッチンソン(以下CH)
- CH:
- アイディアを出す時も二人でやるとパッと出るから一人でやるより速い。バンドみたいなものですね。広告というのはタフなビジネスだから信用できる人と仕事ができるというのは凄く大事なことです。
- ──
- お二人は、バンドで言ったら、どちらがボーカルでどちらがドラマーですか?
- CH:
- RUN DMCのように時々僕がドラム的なことをやることもあれば、スイッチすることもあって二人とも演奏する感じ(笑)。
- DR:
- ハッチは落ち着いていて、僕は彼よりもっとクレイジーでエモーショナルかな。
- ──
- 今回初めて東京に住むそうですが……。
- DR:
- それはジョン・ジェイのせいですね(笑)。
- CH:
- でも、ずっと東京には住んでみたかったので、ジョンのオファーには迷ようことなく答えました。
- ──
- 東京のどこが新鮮でしたか?
- DR:
- 下北沢が新鮮です。とにかく好きで、そこに行くと若い人たちがいて、外国人のいる六本木などに比べるとローカルな雰囲気があるので好きです。
やはり、他の国に住んで違うカルチャーを学べるということはとても貴重な経験だと思う。
- ──
- 下北沢のようにローカルな魅力が残っている場所がある一方、ミッドタウンや六本木ヒルズ、あるいは表参道周辺などに代表されるグローバルな都市としての東京も生まれつつあるのですが、それをどのように感じますか?
- CH:
- 僕らからするとグローバル化しているものは、あまり興味がなくて、逆にローカルなものや、これから日本が大切にしていくルーツ的なものに凄く興味があるんです。スターバックスはUSにもあるわけで、それより、ローカルなコーヒー屋さんの方がおもしろい。
NIKE ASIA・US・EURO SB"CHALK" 2006
- ──
- 実際に日本に来て当初の印象との違いを感じたり、それによって自分たちの仕事の方向性を変えていったりということがあると思うのですが?
- CH:
- 日本が求めるもの、例えばデザインなどはものすごくディテールにこだわっていると思うので、より重視するようになりましたね。
- DR:
- 逆に聞きたいのですが、僕らが日本だけの限定でやったナイキのサッカーキャンペーン“Where´s the next?”「次のロナウジーニョは誰だ?」というキャンペーンで、ロナウジーニョが出てきて、日本のサッカー少年と一緒に部活をやって一緒にラーメンを食べているというものを作ったんですけど、あの作品は外人が作ったように感じますか?日本人が作ったように感じますか?
- ──
- いや、今の日本人の感覚だと思います。あのような非日常というか、エキセントリックなものを日常のシチュエーションに置いてそのギャップを面白がるという感覚は日本人が好きなものですね。テレビ番組でいえばダウンタウンとかの感覚。実際、日本人が作ったと今日まで思っていました。
- CH:
- そう、あれは日本の「部活少年」たちと一緒に生活をして作ったんです。あのキャンペーンというのはオーストラリア、中国、バルセロナ、日本という4つのバージョンがあって、その国に合わせてディテールを、例えば部屋の中にどんなポスターを貼っているんだろうか?とかバックグラウンドを国ごとにかなり研究して作っている。
- ──
- 4バージョン全てお二人でやったんですか?
- CH:
- そうです。全地域やっているんですが、ロナウジーニョだけは全て出ていてその地域の人が見た時に「これは自分たちの国だな」とわかるぐらいに作っています。いかにロナウジーニョをそこの国の少年っぽくできるかというのが課題だったので、どこの国の文化に合わせてもうまくいくようなストーリーで、伝えなくてはならない基本の広告アイディアは同じです。
- DR:
- W+Kで制作するものはディテールにものすごく凝ってます。一見気づかないような所のアートディレクションをすることで伝わるものがあると思うから。
NIKE ASIA JAPAN VARSION "WHERE'S THE NEXT?" 2007