STREET WEAR HISTORY
カルチャーの番人"ロジャー・K・バートン"が語る、
ブリティッシュ・ユース・ファッションの歴史
08 11/5 UP
Text:Andrew Bunney Translation:Mayumi Horiguchi
- A :
- 「過去を振り返ることで、我々は何を学ぶことができるのか?」
- R :
- 「そのスピリットが、当時そこに存在していたと感じることができる。でも、それは僕にとっては、単なる郷愁にふけった行為に過ぎない。僕はしょっちゅう、過去から学び続けてばかりいるが、そうしているのは、好奇心ゆえと言えるだろう──『なんで、全然身につけることができないような服を、その人物はデザインしたのか?』という感じで、好奇心をめぐらせている。新しいジェネレーションは、そこに何かがあるとエキサイトする。こういう興味を持たせるものが、80年代のクラブシーン関連のものにはあった。当時のチャックがない服がそれさ。僕にはもはや、キッズが古い服の中に何を見い出しているのか、理解不能だね。彼らにとって、古い衣服がどういう意味を持つのか分からない──きっと僕だけにとって、何か特別な意味を成しているんだ。なぜなら、僕はそれと共に、生き抜いてきたから。今18歳の若者に対して、古着の背景に関する物語のすべてを語り聞かせることが、僕にはできる。でも、その行為に何か意味があるだろうか? 何か共鳴するようなものがあるんだろうか? 僕はそれらの中に、スピリットを感じることができるけど、もしかしたら、そんな風に感じるのは僕だけなのかも。分からないね」
- A :
- 「あなたが探し続けているものとは?」
- R :
- 「主に、個人の所有物を探しているよ。未だにずっと、反乱や暴動時に人々が身につけていた服を探し続けているんだ。時代的には、どんな時代のものでもいい。その手の要素を持つものが、僕を興奮させるのさ。そういう状況下でデザインされたものや身につけられたものが、どんな動揺やショックを人々に与えたのか。どんなに小さなものでもかまわない。カルトやムーヴメントに属したものでなくてもいいんだ。それを身につけていた人の気分を昂揚させた服でさえあればいいのさ。そういったものが、僕を夢中にさせるんだ。僕が探しているものが何なのかは分からない。きっと一度目にしさえすれば、即座に『これだ!』と分かるだろうがね」