STREET WEAR HISTORY
カルチャーの番人"ロジャー・K・バートン"が語る、
ブリティッシュ・ユース・ファッションの歴史
08 11/5 UP
Text:Andrew Bunney Translation:Mayumi Horiguchi
- モッズ(60年代中期)
- このルックには、スタイリストの要素が含まれている。潔癖なうるさ型で、スクーターの近くにいて、どこにも行くことはなかった。つまり、彼らにとってすべてがポーズであり、あとは踊ることだけが興味の対象だった……あとは、僕が思うに、目立ちたいってことかな。1964年〜65年当時でも、まだ英国はとても灰色だった。このルックは、メンズウェアにおける革命だった──新しい色がいろいろ手に入った。暗緑色、キャメルとかね。本当に退廃的で、生地も軽かった。そういう色の服を身に付けているキッズは、ヨーロッパ大陸の出身者か、ゲイだと思われていた。
- 左 :
- モッズの中でも一番のスタイリストは、常にシンプルさをキープしており、とても清潔だった。細部へのこだわりは、あらゆる場所に及んでいた。かすかに裾広がりなベントが背中の中央にひとつ入り、色は、まるでハンカチーフのように派手だ。
- 右 :
- 男どもは、完璧に女の子たちと見た目が同じだった。多分土曜日の夜には、女の子はドレスを着ていただろうが、ボーイフレンドに合わせてコーディネートしていたハズだ。
- ヒッピー(60年代後期〜70年代)
- これは、華やかなルートではない。人々はヒッピーのことを花柄のドレスとか、そういうものだと考えがちだけどね。多くの服は、革や毛皮などから作られていたんだ。
- 左 :
- みんなこれを、ハリウッドのTシャツになるまで、着ていたんだろう。これは当時、観光客向けっぽいものだったが、みんなこれをくたくたになるまで着ていた。笑いものになるべく穴を開けてね。ちょっと皮肉っぽい感じでさ。きちんと処理を施していない革のパンツは、肉体にペタペタと吸い付く。ネイティヴ・アメリカンからの影響が続いている。おそらく、そういった衣服で生活し続けて、それを脱ぐことは決してないのだろう。
- 右 :
- 僕はこのジャケットのオーナーを直接知っているんだ。彼らはファッション・ショップをかつて運営していた、僕の古い友だちで、ヒッピーのライフスタイルを送っていた。彼女はこのコートを着続けて、そしてこのコートを着たまま死んだよ。
- パンクス (1976年〜79年)
- このルックは、ちょっとデザイナーっぽく、ちょっとホームメイドっぽい。でも、あまり純正主義者ではないね。
- 左 :
- 誰かが好んでこの古いブレザーを引き裂いて、カスタマイズした。「セックス」か「セディショナリーズ」で扱っていたモヘアで、ジョニー・ロットンがかつて、この色のものを着ていたことがある──赤と黒だね。セディショナリーズのスノー・ブーツ、ナチの腕章、犬用の首輪。当時、僕らはこういったパンツを、この店に卸していたよ。リブロの製品で、精巧な黒とグレイのストライプが入っていて、かつてロッカーズが50年代に着ていたものだ。とても人気が高く、パンクスの間で人気が復活したんだ。
- 右 :
- セディショナリーズのボンデージ・モヘアを着ている。袖の部分は、手を出すことが可能なように縫われている。これは最も初期に発表された男性用のスカートだ。非対称のジッパーが付いたポリ塩化ビニール製のもので、ヘレン・ロビンソンがデザインを手掛けた。